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〓脳科学の視点での「直感」を筋トレで使う
2026-01-28
脳科学者・池谷裕二氏先生の知見によれば、大脳深部の無意識の領域に位置する「大脳基底核」が、直感を生み出す源泉です。直感とは、理由こそ判然としないものの、ふとした瞬間に湧き上がる「漠然とした、しかし確信を伴う感覚」を指します。
<「手続き記憶」と直感の共通点>
脳科学の定義において、基底核は「手続き記憶の座」とされています。手続き記憶とは、歩行や投球、自転車の乗り方、楽器の演奏といった「身体的な動作の方法(やり方)」に関する記憶です。いわば、体を動かすためのプログラムが保存されている場所です。
この手続き記憶には、直感と共通する2つの大きな特徴があります。
①無意識性(自動的かつ正確)
箸の持ち方や歩行において、私たちは一動作ごとに意識を割くことはありません。無意識のうちに正確無比な動きを遂行できるのは、基底核が背後で複雑かつ厳密な計算を瞬時に行っているからです。
②要訓練性(反復による習得)
自転車やピアノと同様、これらは繰り返しの訓練によってのみ脳に刻まれます。
直感もこれと同じプロセスを辿ります。本人が理由を説明できずとも、脳が過去の膨大な経験に基づき、無意識下で最適解を導き出しているのです。つまり、直感とは決して天賦の才ではなく、たゆまぬ「学習」と努力の賜物であると言えます。
<アスリートの指導現場における応用>
瞬発系アスリートがスクワットを行う際、バーベルの軌道は土踏まずの真上、すなわち重心線(鉛直線)上を通るのが理想です。軌道がつま先側にズレると、前傾を防ぐために余計な筋力が必要となり、本来の爆発的な動きが制限されてしまいます。
幸いなことに、キレのある動きを磨いてきたアスリートは、既に基底核の中に優れた神経回路(動作のプログラム)を持っています。私の指導では、この「既にある無意識の領域」へアクセスするためのアプローチを重視しています。
具体的には、筋トレ中に「走る瞬間」や「スイングの瞬間」の力発揮をイメージさせます。理論で固めるのではなく、「バネを押し込んで解き放つ」「弓を引き絞り、矢を射る」といった感覚的な比喩を用いることで、選手は言語化できないまでも「なんとなくできそうだ」という直感的な手応えを掴むことができます。
<「やる気」と「経験」の相乗効果>
脳科学の観点から、無意識の脳を使いこなすために「直感」を信じることは極めて重要です。 ちなみに、気合ややる気を司る「淡蒼球(たんそうきゅう)」もまた、この基底核の一部です。基底核を活性化させることは、パフォーマンスの向上だけでなく、モチベーションの維持にも直結しています。
「私たちが学習したり、人生で経験したりすることの意義は、基底核で『直感力』を育む側面があるのではないか」 (池谷裕二著『単純な脳、複雑な「私」』講談社 より)
池谷先生が述べるように、直感力は経験の蓄積とともに、年齢を重ねるほどに磨かれていくものです。日々の訓練を基底核に刻み込み、勝負どころで「正しい答え」を導き出せるようにしましょう。
<写真>自然でバランスの取れたフルスクワットのボトム
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<髙西文利>
マルヤジム・タトラボ代表
『筋力強化の教科書』・『筋力強化の基本書』(東京大学出版会)石井直方・柏口新二・髙西文利著
(た)楽しい・正しい筋肉づくりは体づくり
(か)体づくりは人間づくり
(に)人間づくりは幸せづくり
(し)幸せづくりは楽しい・正しい筋肉づくりから
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